あとがきのあとの話

雪の筆跡
ミモザの手記
夜半に余話

ミスキャストでもいいよ

いちばんさみしい星のした

君待坂の咲く丘で
夜空に書かれた星文ほしぶみ
低い空に生きたひと

星みたいには寄り添えない

あの頃、無口な秘密基地で

星が流れる角度のように

真名が共鳴する

さよならのルール
すきはかなしい、かなしいはすき
東雲人魚
まばたきの返事
渡せずじまいのペンダント

声は雫
瞳はひだまり
繋いだ手は雪

約束はみちしるべだった

目隠し花びら

やさしい記憶の肖像画
ぼやけた視界のシルエット
桜吹雪に隠れてしまう

人混みの中であの日の二人とすれちがった
ひとりの足跡

夢の淵

月草の薬
今更話したい今迄のこと

駅のホームですれちがう

コインランドリーで読書するだけ
雨脚が弱まる前に
曇った鏡に星が流れる

晨風は星を洗う

コバルトブルーは夏の夜

夜景の季語
花火に染まる藍浴衣
雨が知らせる朝

かなしみの種類
沈黙で問いただす
骨が軋むまで憎めば

さみしい心のだまし方
明るさを求めなくてもいい
誠実さは敵を味方にする

平行世界のエポニーヌ
夢路の文字
耐える/叶わない/絶える
幻夜に消えた薔薇の残り香

Illustration: Flowers&Plants
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