零れた不安が黒耀石になればいいのに
投げ出した足に湖蝶がとまる
ひまわりに焦がされた喉
夏はしとやかな雨の陰
鏡は嘘を拒絶する
二人の地縛霊

TO: Ghosts
万華鏡を出ていく
合わせ鏡の片方に爪痕
海蝕洞から欠けていく夏
分からないまま別れたらいい
葉月尽を待てず、このボートを降りた


陽炎に還ろう

いつまでも君になじまない真珠だった
ラピスラズリの前世は人魚の鱗
互いがたがいの岸だったこと
崩れる花は昇華され
枝垂れて悼む
睫毛に雨粒

流星の旋律
水割りなみだ
梢に声を結んでおく
書かないことが最善だった
雪にあなたの声をとじこめたい
後ろ姿のスケッチ着色されないままで

Illustration: Flowers&Plants
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