キャンドルが12月を燃やしていく

ディキンソンの詩集

強さを欲しない世界が欲しい

前置きのように湖がいる

想望を纏う万年筆
あと二夜明けたら
真心で払い除けて

輝安鉱のような眼光

その感情を負と呼んではいけない

絶海の伝令

リュート奏者と庭師

ベネチアングラスのブローチ

すべてを〈愛〉に変換する  
回線を切断しなければ

さみしいはずだという先入観

白湯とブランケット

幸福が血液に沈んでいく

渡したペンのインクが掠れる頃

遠鳴りのギター
無題の無限
思い出の粘度

輝ける血のように鬼灯
ためいきをひもと
きみとの過去にニスを塗ってしまった

好奇の目玉たち

悪霊と握手する方法

肉眼製のまやかし

修復されたのはファムファタルと云われていた人間

入念な諦念

ガラスの重いドア

苗字を同じくしないままで

配役を脱ぎ捨てる

散文めいて雪暗ゆきぐれ
たわむれ/推論
脈に詩が息づく

クリスマスツリーの調律師

ワインのコルクが転がる先

一昨日、ナイトランプを割った

昏れて/Crescent Moon/隠れて

未明のエルダーフラワーコーディアル

光祓い

断罪の重力

もはや闇ではない

あなたを光にしようとするもの   
すべて薙ぎ払いたいなあ、でも
それもきっと——

あの人に子孫がいるかどうかは   
分からない

不毛なよあ

悪夢の悪を奪ったあなた

ひそかに待つ

ひそやかに待つ

はるばると12月の浜辺

紙片に言伝

引き留めるなんてできない

戻ってこないことに安心するんだ

かじかんでいく感情の一劃いっかく

いてくれたらうれしいけれど、
いなくなってもそれを受け入れるよ。  
だってあなたの意志だから。

夜空の油を浮かべた珈琲
一滴のジャズを垂らした空間
角砂糖は落ちた星の味がした

霜月のしわぶき

如雨露じょうろうかべた泣き言

生まれてからずっと後日譚のよう

葉風が燃えるように立ち上がる





sozai:
Flowers&Plants, Watercolors Christmas Textures
background-image:
@oleg-magni-Pexels

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