1週に6題の更新で半年間続けました。
通し番号の付いたものが配布お題です。 

... ... ... 引用した作者の他の作品もぜひ
読んでみてくださいね。
 
開始:25th Dec. '22 〜
終了:25th Jun. '23

1. それを〈意思〉と呼ぶべきか
2. おぼつかなさ、雨の降らない雨雲
3. 少しずつ移動していく日陰

4.
5.
6. 雨か女か雪か男か、或いはそれら以外

7. スタッカート・スキップ
8. 未明の雨宿り
9. 嘲笑は明るすぎて

10. 朝食はガリレオ温度計と共に
11. 「シーザー暗号を使いなさい、すぐわかりますよ」
12. 必要に迫られ手を繋いだ

13. 初夏の笹舟
14. 葡萄畑の迷い人
15. 水辺のVlog

16. シュノーケルの約束を忘れよう
17. 会話をひとつひとつ積み上げてきた
18. 罪とは言わないけれど

19. 気づかわしげに消失
20. 旋律を束ねて
21. 深夜2時、フォンダンショコラを齧る

22. たくさんの関係、ひとつひとつの性質
23. 桟橋の隙間に落ちていく話し言葉
24. 幾億の背表紙たちの中からまた見つけて

25. 深夜1時のカステラ
26. 机上の烏龍茶
27. 飾られなくなった絵

このわれとわかるるものはそのままに一ありともさいはいならまし
(三ヶ島葭子『吾木香』『現代短歌全集』第四巻 所収)

28. 109年目の蝮酒
29. 微弱な逆光線
30. 標本壜のなかで朽ちていく

31. 深夜3時の楽曲共有
32. 逆夢の岬
33. 正夢の崖

34. 絵葉書のアルバム
35.
36. 水紋蝶

37. 差しむけた傘を拒まれる初夏
38. 波濤の蔵書票エクスリブリス
39. 何方どちらを向いたことばなのだろうね

40.分かりにくいと言われ退けられたもの
41.見つけられなかったもの探せなかったもの
42.見つける必要も探す必要も、なければ。
43.もっと早く知りたかったと、こんなにも。

44.分類するな名付けるなと声高に叫ぶ姿をみるたびに。
45.生き延びる。なぜなら可視化のための言葉だから
46.ついにやっと名と出会った瞬間の——

47. 仲良くなっても独り占めは必要ない
48. 他人との関わりを制限する独り占め
49. まだ冬の呼気が掠れて

50. 掠れたらくがきはメモの端で
51. あの頃と変わった人の変わらない部分
52. 樹洞のように拒絶する

53. 仲良くなっても性行為は必要ない
54. 束の間のコテージ
55. 懐かしい。と言ってみせるポーズ

56. 真新しい雑誌のにおい
57. リミット9日間の6日目
58. フラスコのなかで鉱石を育てる

59. 女の顔を隠すアート(潰さないで)
60. 私たちを《普通》ということにしたがる手
61. 花脈のかたすみ

62. 美しいなんて言ってくれなくていいんだ
63. 花片の落ちてくるような栞
64. 積読に罪悪感を抱かない

65. 学びには何時か何処か誰かの犠牲がある
66. あるひとつの言葉が氾濫する
67. 月とはその先を覗くレンズ

68. 注文した本をずっと開けられずに
69. 椿よ、つばき
70. おいしく感じられなくなって

71. そのまま瞼を上げることができない
72. 日没の金箔片
73. 火のぬくもりを貸してあげる

74. 心とは正反対の絵文字を送ってしまう
75. どこまでも転がっていく月
76. いつだって黒色は攻撃してこなかった

77. 心のうちに壁画をもつこと
78. 共感のいらない安らぎを
79. 誰もが誰にもふさわしくない

80. 水の芯に触れる
81. わたしたちの声変わり
82. 猫集会に居合わせる夕方

月の夜の何とはなしに眺むればわがたましひの羽の音する
(片山廣子『翡翠』『現代短歌全集』第三巻 所収)

83. 梅路を辿る季節を春という
84. 1991日前のメッセージが送れませんでした
85. タペストリーのなかに訪問者

86. 30の間違い/80の間違い
87. 霧雨きりすに爪弾く
88. 強がりでなく本心であると

89. ふたりぼっちに閉じ込められるのはいやだよ
90. 性的欲なき手のひら
91. 手の甲に降る虹

92. 気づかなかっただけでずっとそうだった
93. 新しいのではなく、ずっとそうだったよ
94. 瞼と窓掛け

95. 血縁のない者たちが集まるこの家
96. 晴れ渡る結婚推奨思想
97. 星は光を持たない

98. うれしさは二人が恋人と思われないこと
99. ダイアローグ——ある洞窟にて
100. 青黒いインクの時限

101. 二人組人生制度が降りかかる道の途方も無さ
102. ロマンティックラブイデオロギーの雨音にかき消されそうでも
103. 異性結婚推奨思想という国の謀を挫く

104. そして立ち現れる個人の立場
105. 透明化できるマントなんて無かった
106. 泣きじゃくるように砂利道

107. 輝けば打ち消しあう
108. イリデッセンスの動悸
109. 鞘なら壊しておいた

110. また愛を過剰に見出されている
111. 性行為を求めてばかりのこの世にいても
112. 触れずに交わせるもの

113. ふたたび本をひらくとき
114. フリーハンドの黄金律で
115. 暗闇で声を測った

116. 水沫は片翼ゆえに届いてしまう
117. 新月の隠れ家
118. 広々としたカウチでそれぞれ自由に過ごす

119. 凍れる森の夜景画ノクターン
120. 真冬のちいさなお祭りのこと
121. この比喩に花々は似合わない

122. その軽率さがやさしかった
123. 道連れはバーガンディーのベルベット
124. 縁切り星

125. 愛さないまま大切にしている
126. 楽しくなくとも充実している
127. 雨日和アンビエンス

128. だらしのなさに生かされている
129. 悲史を負う
130. その憎しみは如何にして生まれた

いつの日か倖せを山と積みて来る幻の馬車は馭者のない馬車
(稲葉京子『ガラスの檻』『稲葉京子全歌集』所収)

131. 無知と思われている
132. 知っているよ、といつどうやって伝えようか
133. 予想すること/侮ること

134. 風呂場の花鋏
135. 水流に逆らって、指で梳いて
136. 花屑たちの呼吸

137. 祈りに逃げた/祈りしか持っていなかった
138. 魚の骨を除ける所作
139. 理屈っぽくなれてこの上なくうれしいよ

140. 手折った花と口遊むように
141. 嘲弄を含んで「ポエム」と云う
142. 予想に反することなくやっぱり苦しい

143. 博物書との午餐
144. 置いていかれたパンくずに癖を見る
145. 海景画をいつか歩いたね

146. 朝4時36分、灯油の匂い
147. 凍えた手で自転車のチェーン直して
148. カンヴァスに置いた雪一面

149. 渦巻く、うずくまる、疼く、薄霜
150. 氷雨の余焔
151. 勢いはときにやさしさを蹴飛ばしてしまう

152. 雨漏りとライター
153. 運命から逃れたその先で
154. かなしみをゆがいて

155. 祈雪の残像
156. 懸命に駆け抜け、そして踏んできた
157. 落日と涙路

158. 身軽さを求めるわけもなく
159. 窓硝子と花器
160. 雨か雪か分からないんだ

愛されず 人を愛さず 夕凍みの硝子に未踏の遠雪野みゆ
(葛原妙子『薔薇窓』『葛原妙子歌集』所収)

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